2016年5月16日月曜日

考える牛

ああ、また観てから日が経ってしまった。


 4月30日(土)
今年の観劇5本目、
劇団INTELVISTA考える牛』@青森演劇鑑賞協会事務所

劇団INTELVISTA『考える牛』


八戸の劇団の青森公演。


協会事務所ってどんなとこかと思ったら、ほんとに雑居ビルの一室、まさに事務所だった……
そこをステージ側と客席側に、床に貼ったテープのみで区切って“劇場”とする。
まさに小劇団、インディーズの手づくり感あふれる公演だなあ。

東京にいた頃観に行っていたのも、いわゆる小劇団の小劇場公演がほとんどだったけれど、それでも一応専用の芝居小屋で専用のスタッフや設備があったうえでの“人力感”だったからなー。
(ギャラリーなど演劇用の場所ではない所での公演もたくさんあったけれど、それでもやはりそもそも「見せるための場所」なので、フロアの佇まいや照明の活き方が充分劇場寄りだったと今にして思う)


ちなみに演劇鑑賞協会なんていう存在は、芝居好きの私のような者はぜひチェックしとかなきゃいけない案件なんだけど(実際青森に帰ってきてすぐ情報は耳に入ってきたけれど)、会費のこととか諸々の事情で入会は見送っている。

でも青森の演劇界を支える活動には尊敬の念を抱きます。頑張っていただきたいです。ニートを脱したあかつきにはぜひ入会も検討したいところです。はい。



作品の軸である小さな人間関係とそれぞれの人生へのもがきは私の好きなテーマなので楽しく観られたが、芝居がちょっと素人っぽくて正直苦手なタイプの役者さんが若干名。客演の女優さんは上手かった。

しかしイヤだねー、余計なことばっかり考えて余計なことばっかりやろうとする人。と思った次の瞬間、自分にもそういう面はないだろうかと考えてヒヤッとする。あーやだやだ。
やだけど、演劇的人物造形のアプローチとしては◎なのがまた因業なり。


それから劇中に明確な「男は〜」「女は〜」みたいな紋切型の提示はなかったけれど、登場人物の性差の感覚がはっきり立ち現われていたように思う。
いつの時代も男は子供。
女はそんな大きな子供の間を、悩み疲れながらもするする縫って確実に現実を生きていく。

けれど男の、コミカルさと救いようのなさとが紙一重なその無邪気さと甘えがなければ、この世界を彩る喜劇も悲劇も生まれないんだろうなとも思うわけで、これまた因業なことですな。


こういう地味だけど丁寧な視線の芝居を青森の片隅でやりつづけてくれるというのは、地方住まいの演劇ファンとしてとても嬉しいことだ。



以下余談的ひとくちメモ。

  • スタッフとしてお手伝いされていた方の中におそらく弘前劇場の役者さんと思われる方がいたような。東京公演を観たときは舞台からかなり遠い席で顔がはっきり見えていたわけではないので断言はできないけれど。
  • 近くに座っていたお客さんが柿喰う客のグッズを手にしていた。中屋敷法仁は青森出身だもんなー。こんなところにも青森に流れる演劇DNAを発見。
  • 「考える牛」は実際バルセロナにいるらしい。

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