2016年4月4日月曜日

滞納観劇レビュー精算強化週間 3日目

3月19日(土)
今年の観劇3本目、『中学生・高校生のための高校演劇見本市Ⅲ振替公演
@渡辺源四郎商店しんまち本店二階稽古場

青森中央高校演劇部『中学生・高校生のための高校演劇見本市Ⅲ』

全国の中学・高校で毎年上演され続けている高校演劇の有名作品を3本上演します。可能な限り簡単な舞台装置で上演します。可能な限り台本に忠実に、オリジナル上演の演出通りに上演します。大会や校内公演の演目選びの参考にしてください。
※出演は3演目とも青森中央高校演劇部です
                                                   (チラシ序文より)

こういう趣旨の公演。誰でも無料で観られるというのでいそいそと出かけた……のが最初は先々週。それが部内インフルエンザ罹患続出のため中止になってしまい、今回無事振替公演が行われる運びとなったので、あらためて午後の部にいそいそと出かけ直したわけである。


1. 『あゆみ(弘前中央高校版)』

もし私がこの演目の作者が柴幸男だと知らなかったとしても、冒頭で演者たちがわらわらと動きながら次々とモノローグを放っていくのを見た瞬間、きっと「『わが星』みたいだな」と思ったことだろう。



他にわが星との共通点として「まわる」「くりかえす」「女の子」など。


2. 『さちことサマーキャンプ』

この演目がいちばん“高校演劇!”って感じがした。単に題材がいじめ問題で舞台が学校だからというのもあるかもしれないが。

生徒(子供)とその親を同一人物が演じる手法は2013年に下北沢で観た『プラモラル』を思い出させた。こういう演劇ならではの表現が個人的にはたまらんのである。(「親と、時が流れて親と同世代になったその子供」を同一の役者が演じるのなら映画やテレビでもたまにあるけれど、この“演劇ならではの表現”の場合、同時代を生きる何十も歳の離れた人物をそのままひとりで演じ分けるという荒技だからね)

同一人物が親子を演じると「この親にしてこの子あり」の表現がリアルにできる一方、逆に親と子の思いの決定的なすれ違いなんかも生々しく感じられるのが不思議だ。それと直接関係あるのかどうかわからないが、パンフレットの解説で「いじめ加害者とその親を女子高生が制服で演じるという斬新なメタ構造」とあって妙に納得。


3. 『修学旅行』

クオリティの高さに舌を巻く。全国制覇した演目というだけのことはある。
畑澤先生作の脚本・演出はもちろんだけど演者の皆さん(特に主要メンバーの5人)もお見事! でもこれで全国大会で最優秀賞獲ったのは10年以上前なのね。ということは当然そのときは今回の演者さんたちじゃなかったわけだけど、現体制でも天下獲れんじゃないの? いやわたし全国高校演劇大会のことなんにも知らないから勢いで言ってるだけなんだけどさ。

マジな話、おばちゃん東京でいっちょまえに活動してる劇団の芝居でふつーにお金払って観たけどへたくそでつまんなくて如何ともしがたいのとかあったからさ、そのときの料金奪い返して君たちにおひねりとして差し上げたいくらいだよ。

ちなみに、
高校演劇を題材にした2015年の映画『幕が上がる』では主人公たち(ももいろクローバーZ)のライバル校の演目として採用され、当時の青森中央高校演劇部員が全員、出演を果たしました。
                                              (パンフ作品解説より)

おお! そうなんだ。これも去年観よう観ようと思って結局観られなかったやつだ。近々レンタルしよう。

by カエレバ


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全編通して「さすが強豪校だのぉ」と唸る思い。
ストレートプレイでの大袈裟なわざとらしい演技をけなす表現として「学芸会じゃないんだから」というような、子どもや学生の未熟さを引き合いに出した言い方があるが、単にへたくそな役者のそれとは違う、思春期特有の自意識とフレッシュさとのせめぎ合いからほとばしる“学生演劇感”の最高峰たる熱演にたっぷり浸かった3時間半、満足であった。

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